手の外科について
手の外科は、整形外科手術のなかでも繊細な手術を要求される分野といえます。手の解剖学的構造上、腱、靭帯、筋組織、脂肪組織、神経、血管が密な構造であり損傷された場合、軟部組織同士が癒着しやすくそのために機能障害を呈することがありえます。また骨も体表から触知でき、隣接する関節同士の不適合でも機能障害をきたしえます。
手術をしない保存的治療、手術的治療のいずれでも骨折の治療がうまくいっても軟部組織が癒着、組織の瘢痕化、関節拘縮などが起こってしまえば著しい機能障害を生じてしまいます。治療がうまくいくには専門的な知識や経験が必要な分野といえます。
当院では院内に手術室を有し、手・肘の疾患を中心に外来手術を行います。麻酔は腕に走行する神経をブロックする、上肢麻酔と静脈麻酔を主にあわせた麻酔管理になります。
なお、入院施設を有しないため、切断指、重症感染症、内科的合併症が重度で内科的管理もあわせて必要な場合、12歳未満の場合、麻酔や他薬剤にアレルギーを有し手術が困難な場合、内科的治療が不十分で手術に耐えられない場合、手術に長時間(2時間以上)かかることが予想される場合などは当院では対応できないことをご了承ください。
手の部位と疾患
手の骨は指先から14個の指骨、5個の中手骨、8個の手根骨から構成されています。これらは靭帯で連結し手のアーチを形成しています。
末節骨
末節骨および末節骨にかかわる関節に痛みや腫れ、変形、しびれなどの症状がある場合には、外傷による骨折や腱の損傷、関節の炎症、変形性関節症などが原因となっている可能性があります。指先は日常生活で頻繁に使用する部位のため、症状が続く場合や動かしにくさがある場合は、当院にてより専門的に原因精査することができます。
中節骨
基節骨
基節部の痛みや腫れ、違和感がある場合には、骨折や腱・靭帯の損傷、関節の炎症などが原因となることがあります。手の機能に大きく関わる部位のため、症状や原因に応じた治療が重要です。
母指
母指球、母指手根中手関節(CarpoMetacarpal joint)
母指球部に痛みやしびれ、押したときの痛みがある場合には、筋肉や腱の炎症、神経の圧迫、関節の異常などが原因となっている可能性があります。手をよく使う方では負担が蓄積して症状が現れることもあります。
手根骨
手根骨に痛みや腫れ、動かしにくさがある場合には、捻挫や骨折、腱の炎症、手根管症候群などの疾患が考えられます。日常動作や仕事にも影響しやすい部位のため、症状が長引く場合は原因を精査することが大切です。
尺骨遠位(手関節の小指側)
尺骨遠位(手関節の小指側)に痛みや違和感がある場合には、TFCC損傷や腱の炎症、関節の障害などが原因となることがあります。手をひねる動作や荷物を持つ際に痛みを感じる場合で、症状が持続している場合は専門的に原因精査が必要です。
橈骨遠位(手関節の親指側)
橈骨遠位(手関節の親指側)に痛みや腫れがある場合には、ドケルバン病(腱鞘炎)や関節の炎症、外傷などが考えられます。親指を動かした際に痛みが強くなる場合や、手首の動きに制限がある場合、かつ注射などの保存的加療でも症状が改善しない場合は腱鞘とよばれる部分腱鞘の隔壁で余計にあるため保存的治療のみで治療することが難しい場合も多いと考えます。また転倒し手関節をついてしまう場合、橈骨遠位端骨折を生じる頻度は高く、舟状骨を中心とする骨折、靭帯損傷を合併することもあります。
肘の部位と疾患
前腕中央
前腕中央部に痛みなどの症状がある場合には、筋肉や腱の炎症、神経の圧迫、外傷による骨や軟部組織の損傷などが原因となっている可能性があります。手や肘の動きとも関係する部位のため、症状が続く場合や日常生活に支障がある場合は、原因を精査することが大切です。
肘関節内側
肘関節内側に痛みや違和感、しびれなどの症状がある場合には、屈筋群付着部炎、内側上顆炎(ゴルフ肘)や靭帯損傷、尺骨神経の圧迫などが原因となることがあります。手首や指を動かした際に痛みが出る場合や、症状が長引く場合は適切な診断と治療が必要です。
肘関節外側
肘関節外側に痛みや動かしにくさがある場合には、外側上顆炎(テニス肘)や腱の炎症、外傷による筋損傷、関節内滑膜炎などが考えられます。物を持つ、手首を動かすなどの日常動作で痛みを感じる場合は、ご相談ください。